分かりやすい不動産査定の取引事例との格差率

  • 取引事例との比較による査定
  • 格差率にフォーカスしてみる
  • 取引事例との比較による査定の考え方
  • 違和感の正体
  • 採用できる取引事例の格差率は・・・

取引事例との比較による査定

不動産の査定をするときは取引事例との比較によって求めることが主流だと思います。

その求め方っていうのが査定をする不動産と取引事例との比較をおこなって格差率を求め、取引価格にその格差率を乗じて求める方法です。

査定書としてはよく目にすることがありますが、よくよく見てみるとこの格差率について違和感を感じることがありました。

それはとある査定書を確認したときに、格差率が170%とされていたことです。気にしなければ素通りされるかもしれませんが、この格差率170%って・・・

格差率にフォーカスしてみる

格差率が170%だとすると、取引価格×170%=査定価格 となりますので、取引価格の1.7倍が査定価格になります。(査定書での格差率は分母になりますので1/170になりますが格差率を表す上では分子でも分母でも大した違いはないため、今回は計算が簡易な分子で考えています)

いやいや170%っていうのもあるでしょ?って感じる人もいるかもしれませんが、私の感覚ではちょっと違和感があります。

取引事例との比較による査定の考え方

そもそもこの取引事例との比較によって考える手法は、代替性に着目した手法ですよね。例えばプッチンプリンが100円だとして、普通プリンという商品があったとします。普通プリンはプッチンプリンと比べて味や舌触りがいまいちです。もちろん両者の価格が同じだと普通プリンは売れないかもしれませんが、普通プリンの価格が60円だとしたら売れそうです。だから普通プリンは60円ということ。この様にプッチンプリンの価格を基準として普通プリンとの違いを考えその価格を求めるものが代替性に着目した手法であり、取引事例との比較によって求める手法はこの様な考え方です。

ということは、取引事例と比較して170%でも合理性は認められるのではないか?っていう話もありそうですよね。先ほどのプリンの話も約1.67倍で求めることができたので・・・

ところが私としてはやはり違和感があります。。

その理由は次の通りです。。

違和感の正体

違和感があるものとして次の2点があります。

①そもそも1.7倍の価格差があれば前提となる市場が異なるということ。

例えば3,000万円の新築マンションと5,100万円の新築マンションがあったとしすると、3,000万円のマンションの購入しようとしたら物件がなかった時に、じゃあ5,100万円のマンションにしようって考えなるでしょうか?おそらくほとんどの方はそういった考えにはならないですよね。なぜなら両者の購入する客層が異なるのが普通であり、それは市場が異なるからそもそも市場が異なるもの同士で比較するのは困難なんです。

それに5,100万円の新築マンションの情報しかない状況で、他のマンションの価格を3,000万円と予測するのは可能なのでしょうか?おそらく他の情報がないとすると5,000万円に近い価格になると思います。もちろんその逆も然りです。

つまり1.7倍の差があるとすれば、その情報を使って他の物の価格を求めることが難しい事が分かると思います。

②倍率は同じでも購入者の視点で考えると成立しない。

先ほど申し上げました通り、プリンの話は1.67倍で求める事ができるから、それと同様にマンションの1.7倍もあり得るとの話もありそうですが、購入者の視点に立てば有り得ないと思います。確かに同じ1.7倍なのですが、プリンの100円と60円の差って購入者からすると大した差ではありません。他方マンションは、繰り返しになりますが3,000万円と5,100万円の差は購入者が無視できる差額ではありません。つまり成り立たない格差ということであり、これは先ほどの市場が異なるといった部分に繋がるところです。。。

この様に不動産の取引事例を使った査定では170%(1.7倍)もの格差率がある事例を採用するのはあまりよろしくない気がします。

採用できる取引事例の格差率は・・・

やはり購入者が考えて比較できる格差率である20%程度(もちろん物件によって異なりますし、それ以上だってあり得ます。要は先の通り購入者の気持ちになってそれぞれ考えて導き出してください)が取引事例として比較できる。つまり取引事例として採用できるんじゃないのかなって思います。

Follow me!