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立退料は借家権がキモ。賃料何ヶ月分という事より大切

立退料が必要なとき

建物の建て替え、用途変更や転売のためなど様々な理由として賃貸人から借家人(賃借人)に退去をお願いする場合がある。いわゆる立退きというものです。

お願いされた借家人はお金にゆとりがあればそれなら別のところに移りますって話になる可能性もあるけど、転居するにしてもそれに伴う敷金や礼金、仲介手数料や引越し費用等、それなりにまとまったお金がかかってしまい、そう簡単に行動できる人はいないと思う。

すぐにでも退去して欲しい賃貸人からすると費用を負担してでも退去して欲しい。そうなると退去してもらうため賃貸人から借家人へ支払う立退料というお金を交付する場合があります。

この相場って賃料の何ヶ月なんて話があるけど実はそんなに簡単な話ではないみたいです。

借家権を考えてみる

立退きっていうと借家人の建物の借りる権利を奪うことになるから、借家人の借家権の価値を奪うので当然その部分の対価が必要になってくるし、もちろん先ほど記載した引越し費用等の諸経費が必要になってくると思う。

引越し費用等は簡単に想像できると思いますが、借家権ってどう考えればいいのか難しいところだと思う。

これを感覚的なところで話をすると・・・売買の場合は目的物を所有する権利を取得しますよね。じゃあ借家権は?というと建物を借りる権利を譲渡する場合を想像する。つまり前提となる賃料や諸条件をもとに借りる権利を取得すると考えると理解しやすいかもしれません。借家権が売り物だとすると、例えば借りようとする建物が一般的に10,000円/坪で借りれるとして、8,000円/坪で借りれる借家権が売ってるとしたら、たぶん8,000円/坪で借りられる権利を買いますよね。単価で2,000円違っているとして貸室面積が100坪であれば年間にすると・・・

2,000円/坪 × 100坪 × 12ヶ月 = 2,400,000円(年額)

1年間で、2,400,000円違う。2年で4,800,000円・・5年で12,000,000円違ってくるので2,000円/坪違うのは大きい。

ではその貸室を借りる場合にその2,000円/坪安くできる借家権を2,000,000円払ってでも購入したいと思うでしょうか?・・・この場合1年で回収できるので購入しても良さそうですよね。

次に5,000,000円ではどうでしょうか?・・・今度は2年以上かかってしまいます。ちょっと考えるのかもしれませんね。

さらに12,000,000円ではどうでしょうか?・・・回収に5年かかってしまいます。5年くらいならいいよという人もいるかもしれませんが、私はなんとなく5年は長いのかなって感じてしまいます。

さて、いくらが妥当なのでしょうか?それは3,000,000円かもしれないし、8,000,000円かもしれない。これは各々の考えよって価格は異なりますが、そう考えると購入したくなる価格が想像できそうな気がします。それと同時にその借家権が、市場で売っているとすれば一般的にその借家権はいくらくらいで購入する人がいるのだろうか?と考えを進めていくことが大切だと思います。

もう一つ別のパターンとして先ほどと同じ物件で4,000円/坪安く借りれる借家権があったとします。この場合は単純に先ほどの算定のちょうど倍になるので2,000,000円のところが4,000,000円になり、5,000,000円が10,000,000円になり、12,000,000円が24,000,000円ということになりますよね。

こうやって比較をすれば分かると思いますが、賃料が安ければ借家権は高くなるということになります。賃料が安い方がお得だからその分高い価格でも購入した方がいいので感覚的にも分かるかもしれません。

つまり賃料が安くなると借家権という権利の価格は高くなる傾向がありそうです。

賃料何ヶ月というより借家権が高いか安いかの方が大切

実際に立退きをお願いしようとする場合があったとしたら、その借家権の価格は高いのでしょうか?安いのでしょうか?一般的な賃料と比較すると何となく感覚がつかめるかもしれません。借家権がいくらくらいなのか考えられたら、引越し費用などの諸経費も合わせて考えてみてください。

また立退きにかかる事例について考えてみると、過去に立退料を支払った事例が賃料の何ヶ月分なんて話もありますが、個別の借家権って異なりますし、また営業補償などが含まれると複雑化するため簡単にその事例を当てはめるのは好ましくない様に思います。何ヶ月分というのはその事例だけの話であって、過去の事例として紹介はできるものの、安易にその数字を持ち出して交渉してしまうと問題になる場合もありそうです。

立退料の算定は簡単ではありませんが、不動産関連の仕事をしている人はそういったことに関わる可能性がありますし、仮に他の専門家に任せたとしてもある程度内容は把握できた方がいいと思うので、たまにはそういったシミュレーションをしてみるのもいいかもしれません。

それと最後に借地借家法においては立退きに際し正当事由が必要なことを忘れずに。。

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