借地権価格 とは(借地権の取引)

  • 借地権の取引
  • 借地権の価格
  • 相続税路線価の借地権割合から求める方法の問題点

借地権の取引

借地上の建物を取引されることがあります。。

その場合って借地権は、建物所有権の従たる権利ということで、建物だけの売買契約であったとしても、建物と伴に借地権も買主に譲ることになってしまいます。

もし借地権が買主に譲られなかったら、不法占有している建物の所有者になってしまい、建物取得後すぐ土地を明け渡さないといけなくなる・・だから借地権も建物の所有権と伴に移転するということですね。

じゃあ建物の価格は、相場の○○円にしよう。。

借地権の価格っていくらにする。。。

借地権の価格

借地権の価格??

建物の価格は、一般的に取引があるので相場はある程度分かりそう・・・

でも借地権の価格って・・・?

そこで借地権価格の案として、相続税路線価を0.8で除して、借地権割合(相続税路線価にアルファベットA~Gで定められたもの)を乗じた価格にて算定しようってことになり。。

例えばこの方法で求めると・・・

前面道路の相続税路線価が1,000千円/㎡・借地権割合が60%の場合

1,000千円/㎡ ÷ 0.8 × 60% × 500㎡ = 375,000千円(借地権価格)

私は別に当事者がこれで納得していれば問題ないと思う。

でもこの考えだと・・・実は賃料や借地権の残存期間が全く加味されていない点が問題なのではないでしょうか?・・・

相続税路線価の借地権割合から求める方法の問題点

同じ路線で形状が同じ、かつ借地にかかる契約条件等も同じで、賃料が500円/㎡のところと、賃料が1,000円/㎡のところがあったとしましょう。先の算式で求めると借地権価格は同じになります。・・・当たり前ですが、先の算式では借地権価格に賃料が全く影響しないからです。

ところがこの賃料って、同じ土地で500㎡あったとすると・・・

a土地:500㎡ × 500円/㎡ = 250,000円/月額(3,000,000円/年額)

b土地:500㎡ × 1,000円/㎡ = 500,000円 /月額(6,000,000円/年額)

単価が倍になるから答えが倍になるのは当たり前っていわれそうですが、考えてほしいのが全く同じ土地を借りるのが2倍も違うのに借地権価格が同じになるところです。

それは、賃料が500円/㎡ではなく、100円/㎡でも借地権価格は同じなのです。

賃借人からすると同じ土地を借りるのだったら、賃料が安い方がいいですよね・・

ってことは・・・例えば上記a,b土地で借地権の対価としてa土地が1,000万円高かったとしましょう。それだったらa土地を借りるでしょうか?

1,000万円 ÷ 250,000円/月(*賃料の差額) = 40カ月(3年4カ月)

*賃料の差額 : 500,000円/月(a土地) - 250,000円/月(b土地) = 250,000円/月

これだと3年4カ月で1,000万円回収できます。そして建物の所有とする借地権であれば、長期にわたる契約をすることが一般的なので、1,000万円の権利金の支払いは合理的であり、a土地の賃貸借契約を締結すると思います。(もちろん契約の残存期間が3年4カ月より短かったりした場合は別として・・・)

ということは、a土地の権利金が1,000万円高くても借りるから、借地権の権利の価格は同じ価格にはならないといえます。

借地権はそんなに取引が多いものではないですし、取引事例等の資料を収集することは困難なため、借地権価格を求めるに際し、相続税路線価の借地権割合を使用して求めることもあると思いますが、その求め方がどういったものなのか考えて提案するのが大切じゃないかって思います。

Follow me!