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借地権割合から借地権価格を求める際の不都合性

借地権の価格を求める

借地権付き建物の価格を求める場合、当然のことながら借地権の価格と建物の価格を求めなければなりません。

そして借地権の価格を求める場合に相続税路線価の借地権割合を使って求める方法があります。

ところが借地権の価格を相続税路線価の借地権割合から求めるには論理的におかしなところがありそうです。そこで借地権の価格を求める場合で借地権割合を使って求める際の不都合性をについて記載したいと思います。

借地権と相続税路線価の借地権割合

ちなみにここでいう借地権は借地借家法が適用される借地権(建物の所有を目的とする借地権)と考えて下さい。

借地権の取引は基本的に借地権を権限とする建物の売買を行う場合がほとんどだと思います。

相続税路線価の借地権割合は相続税路線価の右上にアルファベットで記載されている90%~30%の割合のことです。

そして相続税路線価の借地権割合を使って求める場合は、その土地の価格にこの借地権割合を乗じて借地権価格を求めます。例えば土地の価格が5千万円で借地権割合が70%だった場合は・・・

(土地の価格)50,000,000 × (借地権割合)70% = 35,000,000円

借地権の価格は35,000,000円となります。

一見正しく見えそうですが、これでは不都合なところがありそうです。

借地の期間を考慮していない

借地の期間に着目します。

例えば同じ土地で20年の定期借地権を設定していたものが2パターンあると仮定します。

一つは残存期間10年、もう一つは残存期間3年。他の条件は同じとします。

借地権は先ほどのとおり、価格に借地権割合を乗じて求めるとすると、借地権の価格は価格×借地権割合なので、二つとも同じ価格になります。

同一条件で10年間使える借地権と3年しか使えない借地権の価格が同じになってしまいます。収益物件だったら、3倍位も稼げるのに・・・(基本的に純収益は逓減する傾向があるのでそんなに単純ではありませんが)

ただそういった側面から考えるとちょっと問題がありそうですよね。

賃料が安いといういわゆる借り得が反映されない

賃料について考えてみます。

同じ土地で月額の賃料が100万円の場合と1万円の場合(他の条件は同じ)を比較してみると、これも土地価格が同じで借地権割合も同じになるので、借地権価格が同じになります。同じ条件で同じ土地を借りるのに賃料に100倍もの差額があるのに買い受ける価格が同じっておかしくないでしょうか?だって賃料が安く借りれるんだったら権利価格が高くても購入しますよね。

少なくとも同じ価格は設定されないと思います。

不都合性を考慮すれば良い手法

この様に相続税路線価の借地権割合で借地権価格を求める場合には不都合なところがありますので注意した方が良さそうです。

もっとも借地権は情報が少なく市場も成熟することはあまりないと思いますので、そういった状況では借地権割合から求める方法は簡便で使い勝手が良い手法です。

なのでこの様な不都合な部分を十分に踏まえた上で活用することをオススメします。

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