債務不履行の損害賠償の履行利益と信頼利益。

  • 履行利益と信頼利益
  • 債務不履行に基づく損害賠償
  • 通常損害と特別の事情による損害
  • 最後に故意・過失について

履行利益と信頼利益

例えば土地の売買契約を締結すると売主は土地を引き渡す債務を負い、買主は代金を支払う債務を負う。

この両者が負った債務が履行されなかったり遅れたりしたら債務不履行っていう話になる。

そしてこの債務不履行になると損害賠償を請求できるとされる。

その賠償範囲は履行利益というものが対象になる。

ここで履行利益というのはいわゆる転売利益が含まれるものであり、それに対して信頼利益というものがある。

信頼利益は、瑕疵担保責任の損害賠償の範囲であり、例えば800万円で購入した不動産を900万円で転売しようとしていたが不動産に瑕疵があったため実は500万円の価値しかかなったという場合おける購入価格と支払った価格の差額の300万円の部分です。当然転売の利益は入りません。

他方、履行利益は信頼利益を含んでさらに転売利益等の利益も損害賠償の対象にしようとするものなので、先の話でいくと信頼利益の300万円に転売利益の100万円を加算した400万円になります。

要は瑕疵担保責任より債務不履行の方が損害賠償の対象が広いということ。

だから2020年4月から施行されるの改正民法では瑕疵担保責任が契約不適合責任というものになり、損害賠償の対象が信頼利益から履行利益になる・・・つまり損害賠償の対象が広くなります。

そんな債務不履行の損害賠償ですが、それなら転売することにすればいい。。なんてとんでもない話が出たりします。いくら債務不履行が履行利益も保護されてるとはいえ突然湧いて出た転売の話が損害賠償の対象になるはずないですよね。。

そう思うのは債務不履行に基づく損害賠償を理解しないと難しいかもしれない。。

じゃあそもそも履行利益ってなんだろう?

債務不履行に基づく損害賠償

まずおさらいとして、債務不履行に基づく損害賠償が民法上どの様に規定されているかというと・・・

(債務不履行による損害賠償)民法第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

前段の履行をしないときってのがいわゆる故意。すなわち債務者が債務をわざとしなかったということ。

後段の債務者の責に帰すべき自由は過失。すなわち債務不履行の原因が、債務者がうっかりミスをしてしまったということ。

つまり債務不履行の要件として、債務者の故意・過失が必要ということ。

では債務不履行が起こった場合にどの程度の損害賠償を求めることができるかというと・・・

通常損害と特別の事情による損害

損害賠償の通常損害(416条1項)と特別の事情による損害(416条2項)というのはこれです。

(損害賠償の範囲)民法第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

通常損害は直接的に関係している損害。建物の引き渡しが遅れているのであればその遅れている期間に借りる必要のなかった家の家賃等。引き渡しを受けていれば家賃を負担する必要がなかった・・・つまり家賃という損害が発生し、それは引き渡しを受けなかったという原因(因果関係)に基づきますよね。

そして特別の事情による損害ですが、これが転売利益等の特別な事情により発生したもので、その損害が生じる事を相手方が予見し、または予見することができた場合に限られています。という事は、予見できない様な損害は発生しても対象にはならない。。予見できない様な損害まで対象になれば過大になりすぎますよね。

だから転売することにして相手に履行利益の損害賠償は出来ないんです。そもそも債務不履行を原因とする損害ではないので。最初から債務不履行の話にはならない。。

しかも仮に転売で損害が生じていたとしてもその転売による損害が発生する事を相手方が予見してないし、予見することも出来ないからです。

損害があってその損害と債務不履行との間に因果関係があれば通常損害は損害賠償の対象となり、さらに通常損害の要件と特別な事情に基づく損害は予見可能性によってその損害を賠償するという事。。

最後に故意・過失について

先ほどの415条にあったとおり、債務不履行の要件は債務者の故意・過失が要件となっておりこの故意・過失が認められない場合は債務不履行にはなりません。

例えば売主が引き渡し前に自然災害によって建物が倒壊し、引き渡しを出来ない場合って、引き渡しを受ける買主に損害が生じるかもしれませんが、建物が倒壊した原因が売主の責任(債務者の故意・過失)じゃないので買主は売主に対して損害賠償請求する事ができません。建物の倒壊が売主の故意・過失に基づかないからです。ちなみにこれは危険負担の話になります。

債務不履行ってなんか複雑ですよね。。

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