ローン特約と解除条件(停止条件ではない)

  • ローン特約ってなに?
  • ローン特約の種類
  • ローン特約は停止条件ではない

ローン特約ってなに?

不動産売買契約において、購入に際しローンを利用する場合がある。

住宅であれば住宅ローンを使い、事業性のものであれば現金で購入するよりローンを利用した方がレバレッジを効かせて効率的に投資できるからです。

そしてローンを利用して購入する場合は、基本的に売買契約にローン特約を設定します。

ローン特約の種類

ローン特約は次の2パターンが設定されると思います。

①期日までに銀行からローンを承認されなかった場合に当然に解除になる場合(解除条件型特約)

これは期日までに銀行からローンを承認されなかったら何の意思表示も必要なく契約が解除されるというもの。

②銀行からローンを承認されなかった場合には期日まで解除する事ができる。(解除権留保型特約)

これはローンを銀行から承認されなかった場合には、設定した期日まで解除することができるというもの。なのでローンが承認されなかった場合、解除する意思表示を期日までにしなければならない。それとなぜ留保なのかというと、承認されない事が確定するまでは解除できない(つまり解除が留保される)から。

この2パターンがあると思いますが、私は①の方をオススメしたい。なぜなら②はローンが承認されなかった場合の根拠が不明瞭である。また意思表示があったか否かということや、期日を忘れて解除できなかった等のトラブルが発生する可能性が高いからです。

それと比べ①は期日までに承認がなければ自動的に解除になるため、問題となることは少ないと思います。(もちろん買い主がわざとローンを承認されないようにしたり、虚偽の書類を提出する等の問題があれば話は別ですが・・・)

私の知る限りローン特約ってこの2パターンがほとんどだと思います。

ローン特約は停止条件ではない

ところがこのローン特約を停止条件といっているのをたまに耳にします。

停止条件とは、条件が成就する事によってその法律効果が発揮するというものです。つまり、契約を締結してもその効力を停止(発揮しない)して条件が成就した時に効力が発揮するということ。

ローン特約が停止条件である(停止する対象が解除)・・それは解除の効力を停止する(発揮しない)条件を設定している。それって条件が成就したら解除するってこと?・・・それって解除条件でしょ?

ローンの承認を停止条件にするなら、ローンの承認を受けた時に契約の効力が発揮する(つまりローンが承認されなかったことではなく、ローンが承認されることが停止条件)ということになるのが自然でしょ?って思います。この場合は、売買契約締結時に契約の効力が発揮せず、ローンが承認になった時点で契約の効力が発揮する(一般的な売買契約を締結したことと同じ)ことになります。

ローン特約を停止条件といっているのは、契約締結時に契約の効力が発揮して条件の成就によって契約の効力が停止(しかもこの停止を解除と思っている)すると思っているからではないでしょうか?

それが正しいのであれば先ほどにもいったとおり解除条件(契約締結時に効力が発揮し、条件が成就した時に解除する条件)と同じになりますよね。

ちなみにこれらの条件は民法第127条1項~3項に記載があります。

第127条1項 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。

2項 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。

3項 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。

条件って難しいですね。

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