分かりやすい土地価格を路線価比率から求める簡便法の弱点

土地価格を路線価比率から求める方法

土地の価格を求める時、前面道路に路線価があればその路線価の比率を使って土地価格を求める方法がある。この方法をここでは簡便法とします。

この方法は開示されている路線価や地価公示・地価調査などの価格を採用するので、誰でも簡単に活用することができるし便利で分かりやすい方法だと思う。

ただこの方法で求められる価格は誤差が生じることがあるのでその弱点は踏まえて使った方がいいと思う。

簡便法について

まず簡便法の使い方ですが、例えば調査したい物件(100㎡の更地とする)の前面道路路線価が10,000円だったとして、その近くにある同様の用途の公示地(住宅であれば住宅の公示地、商業地であれば商業地の公示地のこと)の価格が10,000円/㎡で、その公示地の前面道路路線価が8,000円だったとすると、

10,000円(公示価格) ÷ 8,000円(路線価) × 10,000円(路線価) × 100㎡ = 1,250,000円

この様に1,250,000円と簡単に求めることができる。

ちなみに地価公示や地価調査、路線価が分からないという人はこちらの全国地価マップで調べると簡単に調べられるので活用してみてください。それと路線価は一般的に相続税路線価を活用しますが、固定資産税路線価でもいいと思います。ただ採用する路線価は同じものを採用する様にして、くれぐれもどちらか一方だけ相続税路線価を使い、他方は固定資産税路線価を使うことはしないでください。基本的に相続税路線価は公示地などの価格の80%程度とされ、固定資産税路線価は公示地などの価格の70%程度とされているため、路線価が異なるものを使うとその違いが答えに影響することになります。

簡便法はこの様に公開されている情報から簡単に土地価格を求められるので便利だと思う。

ちなみに採用する地価公示や地価調査の代わりに取引事例があればそれを活用することもできます。

簡便法の弱点

簡便法は便利だからいいけど、弱点はある。

例えば、先ほどの事例を考えてみる。

調査対象の土地が100㎡の整形地であればそのままでいいと思う。

では対象地が不整形地だったらどうでしょう?100㎡の土地の形状が悪くて建物を建てられない形状だったらどうなるでしょうか?

考えると気づくと思いますが、簡便法を使っていると同じ価格になってしまうんです。

それはなぜかというと、形状にかかる補正が全く行われないためです。

もし対象地がある地域で建物が建てられない土地が、建てられる土地と比べて40%の価値しかないとすると、その40%を乗じる必要があります。

なので先ほどの算定例を使うと

10,000円 ÷ 8,000円 × 10,000円 × 40% × 100㎡ = 500,000円

となります。

つまりこの土地の個別的な要因を加味しないと価格に違いが出てしまうということです。

また地価公示・地価調査ではなく取引事例を活用する場合には、採用する取引事例の個別的な要因も加味しないと違いがさらに大きくなるので、取引事例の減価要因がある場合はそれを加味して算定してください。この場合おける取引事例の価格を補正する時は、対象地を補正する場合とは逆になるのでご留意ください。

先述の算定で、取引事例地が建物を建てられない場合で対象地が整形地の場合

10,000円 ÷ 8,000円 ÷ 40% × 10,000円 × 100㎡ = 3,125,000円

となります。

なぜ40%で割るのかというと、取引事例地の取引価格は一般的な価格の40%の価値で取引されているから、その取引価格を標準的な価格水準に戻すために40%で割っています。そのため、先ほどの対象地の個別性が強く40%の減価が必要な場合とは異なり逆になります。

まとめ

簡便法は誰にでも簡単に活用できますが、個別性が反映されずに違った価格を求めてしまう場合があるという弱点を踏まえて活用した方が良さそうです。

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