売買契約の『現状有姿』がなぜ必要なのかが分かった

  • 現状有姿とは
  • 現状有姿について考えてみる

現状有姿とは

不動産の売買契約で良く出てくる『現状有姿』。

これって売買目的の不動産を現在の状態のありのままの姿で引き渡すってことですよね。

当たり前の話に聞こえますがこれって本当に必要なのでしょうか?

この現状有姿ってなぜ必要なのでしょうか?

現状有姿について考えてみる

では仮に土地と建物の売買契約を締結するとします。

そして引き渡しの時は、従物である灯籠や庭石、畳や襖などは土地や建物の所有権とともに買い主にそれらの所有権が移転します。これは民法第87条1項と2項がその根拠になります。

民法第87条1項:物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。

民法第87条2項:従物は、主物の処分に従う。

ちなみに従物の要件に必要といわれているものとして・・・

  1. 従物の常用のもの
  2. 主物にに付属するものと認められる場所にあるもの
  3. 主物と従物がともに独立しているもの
  4. 主物と従物がともに同一の所有者が持っているもの

というのがあるのですが、仮にこの従物にあたらないものがあった場合、当然ながらその所有権は売主に帰属しますよね。

それに要件を満たすか否かの判断が簡単にできるのであれば別ですが、判断が難しい場合もありそうです。。ということは土地と建物の売買契約を締結すると・・・

土地と建物の所有権は買主へ移転し、他方、従物に当たらず所有権が移転されなかった物が売主の所有となれば、今度は買主から売主へその物をどかすように妨害排除請求をしたり、売主は返還請求できることになりそうです。

こうなると売主と買主で揉めそうなのでそうならないためにも売主と買主の間で所有権の帰属を明確にしておいた方が良いですよね。

そこで『現状有姿』がでてくる訳です。現状の姿のまま全てを買い主に引き渡しますよ。引き渡しの時点の状態で買い主に所有権が移転しますよ。と記載します。

だから現状有姿という言葉を記載しているようです。それと話は変わりますが現状有姿で瑕疵担保責任を免除できると思っている人もいるかもしれませんが、この現状有姿という文言で瑕疵担保責任を免除することはできません。(内部リンク;現状有姿と瑕疵担保責任

ただ現状有姿というのは、分かりにくいし買い主に伝わらない可能性がありますので、誤解が生じないように所有権が移転するか否か判断が難しいものは明確に指摘した上で引き渡すと付記しておいた方がいいように思います。

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