賃料の交渉で構成要素を用いる方法

  • 賃料の構成要素
  • 賃料の必要諸経費
  • 空室等による損失相当額について
  • 減価償却費について

賃料の構成要素

賃料の交渉で主導権を握る方法を記載しました。そこでは交渉するための条件を記載しています。(内部リンク:賃料の交渉で主導権を握る方法

ところでその賃料ってどのような構成になっているのでしょうか?

その構成要素がわかっていれば、その構成要素に変化があったので交渉したいという相談が出来るかもしれませんよね。どのようになっているのでしょうか?

これは鑑定評価基準で実質賃料というのがあるのでそれを確認すると理解できそうです。

実質賃料は純賃料と必要諸経費から構成されているとされます。純賃料は純収益のようなものであり、収入から必要諸経費を控除したものです。逆にいうと収入は必要諸経費と純賃料から構成されているから純賃料が純収益というものだということがわかると思います。

賃料の必要諸経費

次に必要諸経費は、減価償却費、維持管理費、公租公課、損害保険料、貸し倒れ準備費、空室等による損失相当額で構成されています。

減価償却費は、建物の減価償却費です。

維持管理費は、維持費・管理費・修繕費をいい、建物を維持していくために必要となるものです。

公租公課は、固定資産税・都市計画税があります。

損害保険料は、火災保険、ボイラー等の各種保険です。

空室等損失相当額は、空室による損失に伴う損失相当額をいいます。

これらの純賃料と必要諸経費から構成されているのなら、必要諸経費が高くなると実質賃料が高くなるので毎月支払われている支払い賃料にも影響してきそうですね。

だから固定資産税が高くなったので賃料を上げて欲しいっていうのは理にかなったものだと感じます。ただし固定資産税が増額されたといってそのまま額面を増額するという訳ではありません。それは公租公課っていうのがあくまで構成要素の一部だからです。賃料そのものではないので構成割合等を踏まえて多角的に考えた方が良さそうですよね。もちろんどの必要諸経費であっても影響度は考慮するべきことはいうまでもありません。

空室等損失相当額について

空室等による損失相当額は、総収益の算定の結果として空室等があった場合の総収益にはその損失の負担も含まれているというものであって、空室があるからといって賃料増額の交渉材料にはならないと思います。

減価償却費について

減価償却費については賃料に含まれませんって話を聞いたりします。それはホントなのでしょうか?

なぜかというとどうやら収益還元法で減価償却費を計上しないから、賃料の減価償却費も計上しないということ。

収益還元法の場合は、キャッシュフローで計上するのが一般的なので、基本的に減価償却費は計上しないです。

ただ賃料はこれと全く異なっており、減価償却費は計上します。っていうとなぜ?って話になるのですが、それは建物を使用していたら、償却していきますよね?その費用って賃料を稼ぐために負担した費用ですよね。

賃貸人は投下した資本を投資期間内に回収し、再投資することによって投資を継続させます。だから当然のことながら、投下資本を回収するためにも減価償却費の計上は必要なんです。

でも賃貸借契約を解除すると、原状回復義務を負うので(特に事業用の賃貸借契約)賃借人が負担するから減価償却費を計上する必要はないってたまに聞いたりします。でもそれは・・・

例え原状回復を行ったとしてもそれは維持管理費という費用を負担しているに過ぎず、建物の償却を負担しているわけではないんです。だって減価償却費を原状回復で負担しているのであれば、1棟の建物の賃借人が一斉に全員退去した場合にそれが新築の建物同等物にならないとおかしいですよね?だって減価償却を負担しているのであれば、償却前のものに戻りますよね?躯体も新築なみに。でもそんなことはありませんし、そうだとすると減価償却を負担しているのは賃貸人であって必要諸経費に含まれるのは当然だと思います。

減価償却費は追加投資をしない限り増えることはありませんが、賃料の交渉として減価償却費・維持管理費・公租公課・損害保険料等の諸経費からのアプローチは実際に活用できそうです。

この様に構成要素からのアプローチ方法で賃料の交渉もできるかもしれません。

参考ページ: 賃料の交渉で主導権を握る方法

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