分かりやすい瑕疵担保責任の免責と消費者契約法

  • 瑕疵担保責任を免責する特約
  • 瑕疵担保責任の免責が無効になる場合
  • 個人が買主でも無効とならない場合がある

瑕疵担保責任を免責する特約

売買契約において瑕疵担保責任を負うのか負わないのかは、打ち合わせをして決めなければなりません。

ただ瑕疵担保責任を負わないとしても、それが有効とならない場合があります。

それはどんなケースなのでしょうか?

瑕疵担保責任の免責が無効になる場合

それは事業者が売主で買主が個人の場合です。

なぜ有効とならないのかというと、消費者契約法というのがあるからです。

では具体的にどう定められているのでしょうか?

それは消費者契約法第8条1項5号にあります。ちなみに第8条に掲げる消費者契約は無効であり、この5号に記載されている内容も無効になります。

消費者契約法第8条1項5号:消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵かしがあるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項

ちなみに有償契約っていうのはお互いに相手に対し対価的な給付をする契約で、売買契約は、売主は目的物を引き渡し買主は代金の支払いをするという対価的な給付をなす契約なので有償契約になります。

だから事業者が売主で買主が消費者となる売買契約を締結する場合で、売主が瑕疵担保責任を一切負わないとすると、先ほどの消費者契約法により無効となります。そのため売主が事業者である場合は留意する必要があります。

個人が買主でも無効とならない場合がある

ただこの様に買主が個人である場合でも実は無効とならない場合があるようです。

それは買主が個人事業主等である場合です。

そもそもこの消費者契約法は消費者が事業者より情報が少なく交渉に不利ということで個人を守ることを目的とする法律ですよね。それは第1条に記載されているとおりです。

そしてこの第2条1項に保護される個人の定義があるのですが、そこには個人事業主は排除されています。

消費者契約法第1条:この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

消費者契約法第2条1項:この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。

だから個人事業主は保護の対象とならないということですね。

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