すごい。珈琲屋のおばちゃん店員

珈琲屋さんにて

とある珈琲屋さんに行った時の事でなんです。

そこは老舗のコーヒー豆販売店で、4〜5人程度が座れる小さなお店です。

お店に入ると、いろいろな種類のコーヒー豆があり、聞いた事がない様な豆の種類もたくさんありました。

店に入ると店員のおばちゃんが笑顔で会釈し、お近くからですか?と気さくに声をかけてくれました。店の中はたくさんの種類のコーヒー豆があって香りもいいし、雰囲気はとてもいい感じです。

世間話をいろいろして、そうしているうちにおばちゃんがコーヒーでも試しに飲んでみませんか?と仰ったので、コーヒーをいただきながらコーヒー豆の事を話したり、コーヒー豆の香りを嗅がせていただいたりしてその場を楽しみました。

また、私は知らなかったんですが、高級なコーヒー豆でゲイシャという豆があって、産地によって異なるものの、安くても100グラム6,000円以上の値が付けられていてとても驚きましたが、おばちゃんは高級なコーヒー豆でもコーヒー1杯あたり600円〜700円くらいになるから喫茶店で飲むのと変わらないとの説明があり、確かにそう考えるとそこまで高くないのかな・・・なんて感覚に。

その後しばらく話をして、さすがに高級なコーヒー豆は購入できないので100グラム500円位の超リーズナブルなコーヒー豆を購入したんですが、この店員さんの勧め方が上手かったのですごいと思ったわけで・・・。

店員さんの凄いところ

この店員さんがすごいと思ったのが、自然に返報性の原理や、コントラストの原理を使っていたところです。

返報性の原理

まず、コーヒーを試飲させてくれたんですが、そうやって相手から良くされるとお返しをしたくなる。そのうえ、小さなお店で頑張っているおばちゃんの姿を見ると情が湧いてきて更にお返しをしたくなる気持ちが強くなってくるんです。

返報性の原理って何かしら施しを受けるとその相手に対してお返しをしたくなるという心理的な反応の類のもので、スーパーなどで試食をした時に何かを購入した方がいいかな・・・って思ってしまうことや、知人から何か頂き物をするとその人が困っている時に協力したくなったりするようなものです。

今回のコーヒーの試飲は特にその傾向が強い。それにスーパーの試食であれば、広い空間で簡単に離れる事ができるけど、小さなお店で店員と客だけの空間における試飲って逃げ場はないし、自分のためだけに時間や手間をとっていただいているからお返しをしたくなる気持ちが強くなると思うんですよね。

コントラストの原理

また、最初に高いコーヒー豆を説明した後に安いコーヒー豆を説明することで、安いコーヒー豆の安さが強調され、お得に感じてしまうんです。

コントラストの原理とかアンカリングとかいって、人は先に得た情報によって判断に影響を与えてしまう事がある。

例えば交渉の場面とかだと最初に厳しい条件を提示してその後に妥協案を出していくと意外とうまく合意に至ったりすることがありますよね。

最初の厳しい条件がアンカーとなってそれが判断基準となり、妥協案が相手に譲歩してもらうと得した気分になり、そこに満足してその条件に応じる。最初の提案があったから次の妥協案をお得に感じてそれに応じたくなるんです。

もちろんその交渉の内容によって異なるとは思いますが、最初のイメージを大きくして次に小さくすると、次の条件が小さく感じてしまうことってありますよね。

高級なコーヒー豆を最初に紹介されたことで、コーヒー豆はそんなに安いものではないという情報と、そんなコーヒー豆でも一杯あたりで計算すると喫茶店での料金とそんなに変わらないから購入できないものではないという説明によって、このお店では品質の高い商品を取り扱っているから、ここのコーヒー豆はある程度のコストがかかるということを伝えると同時に、それでも喫茶店と変わらないくらいの価格だからあくまで高すぎて購入できない価格ではないとイメージする。

ところが色々と話を聞いていくと100グラム500円程度のコーヒー豆が売ってあることがわかり、最初に聞いた高級コーヒー豆の1割程度の価格だからめちゃくちゃ安く感じるんですよね。これがコントラストの原理ってやつです。

ちなみに私が普段飲んでるコーヒーはインスタントコーヒーで400グラムで500円くらいなのでそれと比較するとめちゃくちゃ高いんですが、お店での情報は6,000円のコーヒー豆が基準になっていて安いと感じてしまうんです。

ただそれでも私はすぐにインスタントコーヒーと比較したので、高いと感じていたんですが、結局お店でコーヒーを飲ませていただいた感謝の気持ちや、高級なコーヒー豆を扱っているからもしかしたら500円のコーヒー豆も違う香りや味が楽しめるのではないのかという淡い期待のもとにコーヒー豆を購入しました。

帰って飲んでみたところいたって普通のコーヒーだったので、私はインスタントコーヒーで十分な気がしましたが、珈琲屋のお店の雰囲気や、おばちゃんのお客さんへの商品の進め方はすごく勉強になったので行って良かったなって思いました。

おばちゃんの接客方法は教科書に載ってても良いんじゃないかってくらい素晴らしい接客技術だったので勉強になりました。

たまには行ったことがない小さなお店に行くのもいいな。。

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